アメリカとイランの戦争についてニュースで聞かない日はないと言っても良いほどに、この二、三週間で世界情勢がかなり変わってしまいました。
そんな中で、ニュースでよく報道されるホルムズ海峡について、海上コンテナ輸送の観点から取り上げてみたいと思います。
コンテナ船やタンカーによる海上輸送は、広い海を自由に走ることができると思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそうではありません。
航路というものが存在し、その航路に沿って、船は移動します。
そして、多くの場合、広い海の中を移動するのですが、航路によっては、途中で非常に狭い場所を通る必要が出てくることがあります。
有名なところでは、マラッカ海峡やパナマ運河といった場所をお聞きになられたことがある方も多いのではないでしょうか。
最近ニュースでよく耳にするホルムズ海峡もまさにそのような場所なのです。
一方(北側)がイラン、もう一方(南側)がオマーンに挟まれており、その海峡自体の幅は33kmほどしかありません。

しかも、船が通れる幅はそのうちの6km程度、かつ、いわゆる両側通行なので片道あたり3kmという幅を巨大なコンテナ船やタンカーが移動しなければならないのです。
いわゆる、物流のボトルネックと呼ばれるような場所なのですが、ここが詰まってしまうと物流全体に影響が及んでしまいます。
ただし、ここで注目すべき点が1点あります。それは、ホルムズ海峡を通るのは主に原油やLNGなどを積んだタンカーであり、コンテナを積んだコンテナ船の数はそれほど多くないということです。
一方で、アラビア半島を挟んでホルムズ海峡の反対側にスエズ運河というボトルネックが存在しています。

こちらはエジプト国内を通る、人工の運河で、地中海と紅海を結ぶルートになっているのですが、こちらはアジアとヨーロッパを結ぶルートであるため、非常に多くのコンテナ船が通過します。
ホルムズ海峡はエネルギーの通り道、スエズ運河はコンテナの通り道と言うことができるでしょう。
そのため、日本との関係では、ホルムズ海峡の封鎖はエネルギーコストの増大を招くため、私たちの生活への影響としてはガソリン価格の上昇という直接的な影響と、その上昇分が物流コストの増大となり、結果的に様々な商品の値段が間接的に上昇してしまうということが予想されます。
現在のアメリカとイランの対立という世界情勢がどのような形で落ち着くことになるのかはまだ予想できませんが、地政学的な観点で物事を俯瞰してみると、世界で起きている事象が私たちの日常生活にどのような影響を及ぼしうるかという点でより深く考察できるかもしれません。
