前回のコラムでは、日頃から実施できる防災対策についてご紹介させていただきましたが、災害発生時はどのようなことに気をつければよいのでしょうか。どのような行動をとればよいかあらかじめ把握していると、災害が発生した際に慌てることなく正しい判断ができる可能性が高くなります。ここでは、前回同様全日本トラック協会が発行している防災手帳(参考URL:http://www.jta.or.jp/member/pf_kotsuanzen/bosai_techo2008.pdf)を参考に、災害、中でも地震発生時に求められる行動について取り上げたいと思います。
◎運転中に地震が発生した場合
一般道路や高速道路を運転中に地震などの災害が発生した場合、急ブレーキや急ハンドルを避け、ゆっくりと減速しながら車線左側に停車するようにしてください。道路を運転中のドライバー全員が異変に気付いていないケースも大いに考えられるため、急ブレーキなどで停車をすると非常に危険です。適宜、ハザードランプなどを点灯させるなどし、周囲の車両に減速しているということを知らせることで、追突されるリスクを低減させることも可能です。一度停車した後は、カーラジオなどで地震情報や津波情報について確認しましょう。万が一海岸付近などにいる場合は津波の恐れもあります。その場合は一刻も早く高台に避難することで津波に巻き込まれる危険性から逃れるようにしてください。いずれの場合も、決して慌てることなく、周囲に気をつけながら冷静に行動することが大切です。
◎事務所で災害が発生した場合
地震発生時に被害をもたらすものと言えば、その揺れからくる一次的な被害もさることながら、二次的な被害として発生する火災にも十分に注意しなければなりません。火災を予防するため、地震の揺れを感じた場合はすぐに使用中の火を消すなどの対応が求められます。また、強い揺れを感じた場合はすぐに外に飛び出さず、テーブルや机の下に身を隠すなど、身の安全を図るようにしましょう。地震が発生すると慌てて外に逃げようとしてしまう方も多いと思いますが、多くの場合、テーブルなどの下に身を隠す方がより安全と考えられています。これには理由があり、地震で大きな被害をもたらす強い揺れを本震と呼びますが、この本震自体は通常1分以上続くことは滅多になく、1995年の阪神・淡路大震災でも10数秒だったとされています。事務所がビルなどに入居していたり、2階建て以上であったりなどすると、そもそも10数秒で屋外に避難できるとは限らず、また避難中に物が崩れ、その下敷きになってしまうことも十分考えられます。グラっと揺れを感じたら、身近な火を消し、すぐにテーブルなどの下に潜り込む、というように行動するようにしましょう。
災害の多くは突然私たちの目の前で発生すると言えます。災害が発生した時にどのような行動とればよいか事前に把握していなければ、慌ててしまうことでさらに平常心を失い、結果的に正しくない行動を取ってしまうことでしょう。
災害発生時の行動をあらかじめ予習しておくことは、防災対策として日頃から取り組めることの一つでもあります。一年に一回でも構いません。避難訓練や講習といった形で、災害発生時に求められる行動を従業員全員が頭の中に入れておくことが重要と言えるのではないでしょうか。