前回の記事で年末の出来事を振り返っていましたが、その際にTPPについて少しだけ触れました。海上コンテナ輸送事業を営んでいる当社としましても密接に関わってくるテーマですが、ニュースで頻繁に耳にする話題であるわりには、TPPについて具体的な内容をご存知でない方も多いのではないでしょうか。そんなTPPについてできるだけ分かりやすく何回かに分けてご紹介してみたいと思います。
まずそもそものTPPですが、日本語では「環太平洋パートナーシップ協定」や「環太平洋戦略的経済連携協定」と訳されることが多いようです。TPPを英語で正式に(略さずに)言うと”Trans-Pacific Partnership Agreement”となりますが、”Trans”は「超えて」という意味、”Pacific”は「太平洋」、”Partnership”はそのまま「パートナー関係」、”Agreement”は「合意」という意味なので、そのまま直訳すると「太平洋を超えてパートナー関係を構築するための合意」となります。分かりやすく意訳すると、「太平洋沿岸国同士で仲良くなる協定」といったところでしょうか。
どうも「TPP」や「環太平洋」という言葉に馴染みがないので難しく聞こえてしまいますが、簡単に考えると上記のようなイメージをして頂ければと思います。
ただ、より正確に捉えると、単に仲良くなろうというわけではなく、「貿易」関係上仲良くなるという内容になっています。仲良くなるということは、人間においても当てはまりますが、その間に横たわる障害やハードルを取り除くということですね。そして、この場合の障害やハードルはすなわち関税ということができます。つまり、TPPで実現されるべき事項は関税の撤廃、大幅な低下ということになります。このように考えてTPPを意訳すると、「太平洋沿岸国同士で貿易する際は関税を大幅に下げる」協定ということができそうです。
さて、TPPに加盟している国を見てみると、太平洋沿岸に位置している国が主となり、現在で11カ国あります。具体的には、カナダ・オーストラリア・マレーシア・ベトナム・メキシコ・ペルー・シンガポール・ニュージーランド・チリ・ブルネイ・日本の11カ国となります。多くの方がご存知の通り、アメリカも一昨年まではTPPに参加する意思を示していましたが、トランプ大統領が選出されてからTPPから離脱することとなり、現在の加盟国間で最終調整が実施されました。
以上、TPPを簡単にまとめると、「太平洋諸国のカナダ・オーストラリア・マレーシア・ベトナム・メキシコ・ペルー・シンガポール・ニュージーランド・チリ・ブルネイ・日本の間でそれぞれ貿易する際は関税を大幅に下げる」協定ということになります。詳細を見ると品目ごとに関税率は異なり、また低下から撤廃に至るまでの期間も異なるので一様に適用されるわけではありませんが、それら具体的な事例は次回のコラムで取り上げたいと思います。