日本においても新型コロナウイルスが流行しつつありますが、政府発表の通り、今週から1〜2週間程度が日本国内における感染者数増加を抑制できるかどうかの非常に重要な局面になると言えそうです。[1]
一方、そもそもの発生源である中国国内の状況はというと、まだまだ予断を許さない状況とは言えるものの、新規感染者数が一時期よりも減少に転じており、ひとまず落ち着きを取り戻しつつあると言えるのではないでしょうか。
中国経済が日本経済に与える影響はかなり大きく、今後の中国国内がどのような状況になるかその可能性を探ることで、日本がどれほどの影響を受けることになるのか、海外の記事も参考にしつつ考えてみたいと思います。
まず、中国国内の状況ですが、今年の春節は1月25日でした。春節というのは、中国における旧暦の正月であり、中国の方々にとっては一年で最も重要とされる祝日と言えます。我々日本人も1月1日の正月前には実家に帰省するなど、広範囲に移動する人が多くなりますが、中国においても同様で、1月25日までに多くの人が故郷に帰省します。
多くの企業では春節の連休明けは2月3日の月曜日と設定されていたのですが、コロナウイルスの感染が1月下旬から拡大する傾向にあったため、中国の主要都市や地方政府は企業の操業開始期間をその一週間後の2月10日以降と設定されました。
2月末の現時点でもまだ本稼働できない企業や、そもそも稼働できていない企業がありますが、多くの企業や工場は2月10日以降順次業務を再開しつつある、という状況です。
現地に工場やオフィスを構える日本企業が受ける影響という観点では、中国が春節を迎える1月下旬頃から中国での稼働が減少し、通常であれば2月上旬には再開するはずであったのが2月下旬から3月上旬に持ち越されている、という状況と言えるでしょう。[2]
ここで、重要な観点は、中国政府が主導する対策が功を奏し、国内における感染者数の増加幅が減少に転じている、というものです。実際に広東省では2月24日に、今回のコロナウイルスが市中にもたらす危機状況を最上位レベルから1つレベルを引き下げています。[3]
2003年にSARSという今回と同じ新型コロナウイルスが中国国内で蔓延したことがあり、当時も一時期中国では経済が停滞した時期がありましたが、通年では10%の経済成長を維持しました。当時よりは中国経済も成熟しているため年10%の経済成長とはいきませんが、ここ数週間の中国国内の状況を見ると、いずれの企業も少しずつ通常のオペレーションに戻っていくと言えるでしょう。
このような事象が発生した際に最も重要なことは決して過度なパニックに陥ってはならないということです。数字やデータを常に注視しながら、適切に、落ち着き、行動を取る。災害発生時に備え、事業継続計画(いわゆるBCP、Business Continuity Plan)を策定することが重要と言われていますが、今回のコロナウイルスの流行は我々企業にBCPの重要性を改めて示していると言えるのかもしれません。