5Gで変わる未来の物流とは

皆さんは5Gというキーワードについてお聞きされたことはありますでしょうか。
2020年は5G元年と言われていることもあり、ニュースで耳にされたことがある方も多いのではないでしょうか。また、最近ではお笑い芸人のオリエンタルラジオ・中田さんが自身のYoutubeチャンネルで5Gについて解説されていたこともあり、比較的若い世代にも認知されているのでは、と思います。
ただ、多くの方は5Gについて説明するとなると上手く説明できない方も多いと思われますので、このコラムで今一度取り上げてみたいと思います。

まず、言葉の定義ですが、5Gとは、「5th Generation」の略であり、日本語では、「第5世代移動通信システム」を意味しています。第5世代ということは、それまでに第1世代、第2世代、第3世代、第4世代があったのかということが気になりますが、実際に時代の流れとともにそのように変遷しています。1点興味深い点があるとしますと、各世代はおおよそ10年周期で普及が見られ、第1世代は1980年代、第2世代は1990年代、第3世代は2000年代に、第4世代は2010年代に普及しました。そして、これからの2020年代は第5世代が大いに普及するであろうと考えられています。

世代ごとにどのような違いがあるのかという点では、送受信されるデータ量が増加しているという違いがあります。多くの方は記憶されているかと思いますが、ひと昔前にはスマートフォンなどというものはなく、また手持ちのデバイスでインターネット上の動画を見ることができる、など夢のまた夢だったと言えるでしょう。
スマートフォンに慣れてしまっている方は想像もできないと思いますが、ひと昔前はメールの送受信も全自動ではなく、毎度「センター問い合わせ」などという行為を行い、都度都度サーバーにアクセスを試みて初めて手持ちのデバイスに表示されるというような様式でした。

時代は変わり、4Gが普及している現状はひと昔前と比べると大容量のデータを一度に送受信することが可能となっており、もちろん利用環境にもよりますが、動画データも比較的早くアップロードやダウンロードをすることが十分可能な環境が整備されていると言えるでしょう。

そして、5Gが普及するとどのような未来が開けるのか、ということですが、1つは、今以上に大量のデータを送受信することが可能となります。現在の4G環境下ですと、日常生活でエンターテイメント用の動画などには問題なくアクセスすることができると思いますが、少し容量の大きいサイズとなると少し遅延が気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、例えば、4Kや8Kといった高画質なデータや、VR(バーチャルリアリティ)を楽しむためのデータは容量が大きくなる傾向にあるため、現状の4G環境下で送受信するのは少しハードルが高いと言えます。しかし、5Gが普及するとこれらのデータも、現在我々がインターネット上でよく見る一般的な動画を扱うレベルで取り扱うことが可能となると言われています。

では、物流業界では実際のところどのような未来が考えられるか、という点ですが、昨年から今年にかけて通信事業者を中心に様々な実証実験が行われています

KDDIは日立物流と組み、物流センターの運営をいかに効率化することができるかという観点で様々な実験を行なっています。たとえば、高精細カメラを倉庫内に配置するとともに、作業者にウェアラブルデバイスを装着させると、様々なデータをリアルタイムで収集、可視化することが可能となります。そこで、それらデータをもとに、倉庫管理者がリアルタイムに指示を出すことで、オペレーションが最も効率的となるよう作業者を倉庫内で配置させることができるか、など様々な試みが実施されています。

また、ソフトバンク(正確にはソフトバンク傘下のワイヤレスシティプランニング)は日本通運と組み、トラックや積み荷につけたセンサー情報をもとに、トラック1台ごとに積載状況をリアルタイムで把握し、トラックの積載率を高めることができないか、実証実験を行なっています。例えば、トラック内の荷室を3D空間としてデータ化し、それら情報をリアルタイムで送受信することで、荷室の容量をリアルタイムで管理者が把握することが可能となります。それらトラックの積載状況をGPSと連動させることで、将来的には、配送ルートの最適化なども図ることが可能となるでしょう。

このように、5Gが普及した環境下では、今以上に大容量のデータをリアルタイムで送受信することが可能となるため、今までは想像にも及ばなかったビジネスが展開されることとなるでしょう。当社も物流業界に携わる一企業として、どのような貢献ができるか、今後も模索して参りたいと思います。