船荷証券の電子化

船荷証券について、皆さんはご存知でしょうか?

一般的には、B/L(Bill of Lading、Billは証明書、Ladingは船積みという意味です)と呼ばれ、船積みにあたり、船会社から荷主に発行される運送契約の証明書のことです。

船荷証券には貨物の運送条件や船会社と荷主間の権利・義務関係が記載されており、貿易実務上大変重要な書類とされています。

特に、この証券があれば貨物の引き渡しを要求することが可能となるため、いわゆる株式などと同じ「有価証券」に分類されるという点が、特にこの書類が重要な地位を占めている理由の一つになっています。

貿易実務上の全体的な流れとしては、

① 船会社が荷主(輸出者)から貨物を受け取り、船積みをする。
② 船会社が荷主(輸出者)に船荷証券(B/L)を発行する。
※通常、紛失などに備え、3通発行される。
③ 荷主(輸出者)が輸入者に船荷証券(B/L)を郵送する。
※船荷証券が大変重要な書類のため、発行された3通を数回に分けて郵送する。
④ 輸入者が輸入者から受け取った船荷証券を元に、船会社から貨物を受け取る。

という流れが一般的なものとなっています。

船荷証券は国際的な書類ですが、これは、今からちょうど100年前の1924年に成立した船荷証券統一条約(船荷証券に関するあらゆる規則の統一のための国際条約)、いわゆるヘーグ・ルールに準拠しており、当該条約に基づいてそれぞれ各国で国内法が整備されるようになりました。

現在の日本の国内法も昔からの慣例を引き継いでおり、船荷証券(B/L)は原則的に紙であることが前提とされています。

しかしながら、上記の流れでもわかるように、紙の船荷証券(B/L)は

郵送の段階などで紛失のリスクがある。
② 貨物と別に郵送されるため、貨物が先に輸入者に届いたとしても、船荷証券が輸入者に届いていないと船会社から貨物を受け取ることができない

といったデメリットがあります。

この紙形式の船荷証券(B/L)を電子化することができれば、

① 郵送にかかる手間が削減できるので、紛失のリスクを削減できる。
② デジタル形式の証明書であれば、瞬時に発行や送付ができる

というメリットがあります。

このため、シンガポールや欧州などでは船荷証券(B/L)の電子化に向けて協議が進められてきました。

そして、日本でも船荷証券(B/L)の電子化について、2025年にも商法が改正され、2027年度までの施行を目指すと発表されました。

電子化のデメリットとしては、コピーや改ざんが紙の形式に比べて容易であるという点が挙げられますが、一部報道によると、改ざん防止などの観点から、ブロックチェーン技術の利用も検討されるようです。

約100年の時を経て、歴史のある船荷証券(B/L)も現代のテクノロジーを元に、進化していくことでしょう。
弊社も新しいテクノロジーについて常に学び続け、一歩ずつ進歩していきたいと思います。