トラガールが第二の山ガールになる日

トラガールという言葉を皆さんはご存知でしょうか。虎好きの女子、「虎ガール」ではありません。はたまた阪神タイガースの熱狂的ファンでもありません。トラガールというのは女性トラックドライバーの愛称なのです。しかも名付け親は国土交通省なので、正真正銘、国が認めた愛称とも言えます。

現在のところ、女性のトラックドライバーは約2万人いるのですが、割合を見てみると全トラックドライバーのうち約2.4%程度とかなり低い数値になっています。女性の割合は全産業での平均値が約42.8%であり、女性の進出状況が相対的に低いと言われている建設業でも約14.2%であることを考えると、この2.4%という数字がいかに低いかということを理解して頂けるのではないでしょうか。

ところが実は、車両総重量が11トン以上になる大型免許を保有している女性は全国に13万人4千人もいるのです。したがって、10万人以上(13万4千人➖2万人)の女性は大型トラックを運転することができる潜在的なトラックドライバーだということができます。免許を保有しているにも関わらずトラックドライバーとして従事しないということには様々な理由が考えられますが、まだまだ女性向けの環境整備が業界全体として整っていないなどの理由が考えられます。具体的には、配送先で女性用トイレが完備されていないなど、女性目線で見たときの職場の働きやすさがまだまだ実現されていないということが言えるでしょう。

政府もこの状況を鑑みて、2014年をトラックドライバーの「人材確保・育成元年」と位置付け、女性ドライバーを増やすべく活動が開始されました。その中の1つが「トラガール促進プロジェクト」であり、国土交通省自動車局を中心にプロジェクトサイトの立ち上げなど様々な情報が発信されつつあります。

まだまだ道半ばではありますが、日本全体として労働人口が減少していく中で、女性の社会進出は日本が経済大国としての地位を維持するために必要不可欠なものとなっています。山登りが好きな女性を「山ガール」と呼びますが、いつの間にかこの「山ガール」という呼称は市民権を得るようになり、多くの女性が山登りをするようになりました。まさに、ローマは1日にしてならず、という慣用句が当てはまりそうですが、いつか「トラガール」という言葉がきっかけとなり、一人でも多くの女性の方が物流業界に興味を持っていただける日がくることを願っています。