今年に入り、原油価格が上昇傾向にありますが、私たちの日常生活にも少しずつ影響が出始めています。
今年の初め頃、2021年1月頃は原油先物(WTI原油先物)価格が1バレルあたり50ドル前後でしたが、先月11月頃には80ドルを超えました。直近の12月では70ドル前後で推移していますが、年始に比べますとおおよそ40%も価格が上昇していることになります。日常生活にダイレクトに影響するガソリン価格(レギュラー価格)で見てみると、年始は1リットルあたり130円前後でしたが、直近では160円前後となっており、こちらは20%以上も価格が上昇していることになります。
原油価格の上昇はすなわち燃料の高騰を意味し、ガソリン代が上昇すれば、その価格上昇分はいずれ最終価格に転嫁されることとなり、一般消費者の生活にもダイレクトに影響を及ぼすことになります。また、燃料の高騰というのは、その分収益を圧迫するため、コンテナ輸送事業を営んでいる我々にも密接な問題と言えます。
原油価格の高騰そのものに我々一事業者が実施できる対応策はありませんが、経営の安定化を図るための対策はいくつかあるのではないでしょうか。一つは、日々の地道な改善により、固定費を減少させること、もう一つは政府や各種機関が提供している施策を利用し、手元現金を確保することです。
例えば、原油価格上昇の影響を受けている中小企業・小規模事業者向けの対策が先月政府より発表されました。その情報によれば、日本政策金融公庫(および沖縄振興開発金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所、都道府県商工会連合会、都道府県中小企業団体中央会及びよろず支援拠点、並びに全国商店街振興組合連合会、中小企業基盤整備機構各地域本部及び各地方経済産業局)に「原油価格上昇に関する特別相談窓口」が設置され、原油価格上昇の影響を受けている事業者は資金提供を受けることが可能になりました。
URL:https://www.meti.go.jp/press/2021/11/20211102003/20211102003.html
具体的には、日本政策金融公庫等が実施するセーフティネット貸付の要件が緩和され、原油高の影響を受けている事業者もセーフティネット貸付制度を利用できるようになりました。この制度が注目に値するのは、融資限度額が7億2000万円と非常に高く設定されている一方で、貸付利率が約1%と低く抑えられていることにあります。
もちろん、この制度は一事例にすぎませんが、日々の原価低減などの経営改善はもちろんのこと、政府や各種機関が打ち出す施策を適切に利用することで、経営の安定化を図っていくことが大切と言えるのではないでしょうか。