海上コンテナの最大積載重量について

海上コンテナを陸送する際に、実際のところ、どれほどの貨物を積載できるのか、気になっておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

まず結論ですが、「20フィート2軸シャーシなら〇〇トンまで積載可能」というようには規定されておらず、正確に算出するためには個別に計算を実施する必要があります。

ただ、おおよその目安をあらかじめ計算することは可能であり、コンテナサイズとシャーシの種類ごとにまとめますと、下記の表のようになります。

少し言い換えますと、コンテナサイズ(正確にはコンテナの重さ)と、シャーシの種類(正確にはシャーシの重さと長さ)に応じて、最大積載重量が変わってきます。

また、上記の表はあくまでも目安であり、個別に都度計算が必要という点も重要なポイントです。

ここまで読んで、とりあえずちょっとややこしいな、と感じられた方は、最大積載重量は計算すると算出できる!ということだけ覚えていただければ、と思います。

計算式としては下記のようになります。

最大積載重量 = 車両総重量の制限 ― トラック重量(トラクタヘッド重量 + シャーシ重量) ― コンテナ自重

なぜ上記のように計算されるかというと、道路交通法で、コンテナを輸送するトラックごとに「総重量は〇〇トンまで」と規定されているからです。(下表をご覧ください。)

ここでいう総重量というのは、トラック全体の重さのことであり、トラクタヘッド、シャーシ、コンテナ(箱とその中に入れる貨物)の合計値のことを意味しています。

※下図の体重計を見ていただくとより正確にイメージできるのではないでしょうか。

また、表の中に最遠軸距という用語がありますが、こちらも下記の図を見ていただくと分かりやすいかと思います。

タイヤの軸の最も遠い部分の距離が何メートルか、というのを規定しているものであり、この距離の長さごとに総重量の制限値が規定されているのです。

もう一度計算式に戻りましょう。上記の体重計を見ていただければわかるように、

トラック全体の重さ = トラック重量(トラクタヘッド重量 + シャーシ重量) + コンテナ自重 + 貨物重量

となるので、貨物重量を計算したい場合は、右辺の一部を左に移し、

トラック全体の重さ ― トラック重量(トラクタヘッド重量 + シャーシ重量) ― コンテナ自重 = 貨物重量

となりますね。

よって、最初に掲げた計算式が成り立ちます。

最大積載重量(貨物重量) = 車両総重量の制限(トラック全体の重さ) ― トラック重量(トラクタヘッド重量 + シャーシ重量) ― コンテナ自重

この計算式をもとに、最初の表をさらにわかりやすく、具体的に計算式も記載すると下記のようになります。

ここでのポイントは下記となります。

まず、車両総重量の制限が何トンなのか?という問題です。

シャーシごとに最遠軸距が決まっているので、そこから総重量の制限値が算出されます。

ただし、正確には、それだけでなく、総重量が25トンを超える場合は特殊車両通行許可を取得する必要があり、その許可を取得していれば36トンまで制限値が上昇します。

参考サイト1:https://www.ktr.mlit.go.jp/road/sinsei/road_sinsei00000009.html

参考サイト2:https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000783880.pdf

基本的に3軸シャーシの車両はより重い荷物を運ぶことを目的としているため、特殊車両通行許可が取得されているケースが一般的です。

そのため、計算式上の車両総重量の制限値が36トンと計算されることが多いと言えるでしょう。

次のポイントは、トラック本体の重量(トラクタヘッドの重量とシャーシの重量)およびコンテナの自重が何トンなのか?という問題です。

あくまでも道交法は車両の総重量の規定があるのみなので、それらを計算し、車両総重量の制限値から引いた残りの値が貨物の最大積載重量となります。

一見難しく感じますが、海上コンテナのトラックの構成要素を考えれば、自然と貨物の最大積載重量は計算できると言えるでしょう。

※海上コンテナのトラックの構成要素についても別途詳しくまとめていますので、こちらのコラムも参照いただければ、と思います。http://everline.jp/%e3%80%90%e7%89%a9%e6%b5%81%e5%9f%ba%e7%a4%8e%e7%94%a8%e8%aa%9e%e8%a7%a3%e8%aa%ac%e3%80%91%e3%82%b7%e3%83%a3%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%81%a8%e3%81%af/

少し長くなってしまいましたが、

・最大積載重量は計算できる。

・車両ごとに幅はあるが、最大積載重量は10トン〜20トン程度となる。

の2点を覚えていただくと良いかもしれません。