先日のコラムでは、海上コンテナの取り扱い数や貨物流動性という観点から物流の市場規模に注目し、いくつか記事を書いて参りました。
今回は物流業界で働く人(特にトラックドライバー)という観点で現在の物流市場について着目してみたいと思います。
近年、物流業界においては、特にトラックドライバーの方達の高齢化が進み、年々平均年齢が高くなりつつあります。国土交通省が発表しているデータによれば、この15年で平均年齢は5歳近く高齢化し、なおこのトレンドは現在進行形で続いています。日本の人口全体でみれば少子高齢化が進んでいるので、そもそもこの傾向は日本のありとあらゆる産業で見られますが、他業界を比較するとその高齢化率が高いのが実情です。このことが今すぐに何か問題を引き起こすということではないのですが、10年後、20年後を考えた時に、物流業界にいかに若い人々に関わってもらえるか、というのは産業の発展にとって非常に大切ではないかと思います。この高齢化傾向に歯止めをかけ、若い人々を業界に取り込んでいくことがすなわち、物流業界の発展に繋がるのではないでしょうか。
ところで、皆さんはちょうど高度経済成長期の頃、1970年代に製作された映画、「トラック野郎」をご存知でしょうか。今はなき昭和の名優・菅原文太と愛川欽也の軽妙な掛け合いで人気を博し、合計で10作も製作された名作です。「トラック野郎」は一大ブームを巻き起こし、当時の子供達はトラックのプラモデル製作に夢中になったというのですからその社会的影響力は凄まじいものがあったようです。おそらくこの映画に影響されてトラックドライバーになったという方達も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
今の子供たちのなりたい職業といえばYoutuberやプログラマーといった職業が人気を博していますが、この「子供たちのなりたい職業」というのは10年後、20年後の社会を占う非常重要な試金石なのではないか、と思います。当たり前の話ですが、将来の日本を引っ張っていくのはあくまでも今の子供たちであり、そのように考えると、今の子供たちの思考のトレンドは、ちょうど10年後、20年後の産業構造を決定するトレンドになりうるのではないでしょうか。
このように考えると、一大ブームを引き起こす作品を生み出すのは不可能かもしれませんが、物流業界に携わっているものとしてその魅力を絶えず発信し続け、一人でも多くの人たち、子供たちに興味を持ってもらうことが(一朝一夕で決して効果は出ませんが)非常に重要なことだと思います。弊社もまずはこのコラムを足がかりとして、一人でも多くの方に楽しんでいただけるようなコンテンツをこのホームページに引き続き掲載して参りたいと思います。