先日首都圏を台風15号が直撃しましたが、都内では多くの公共交通機関が乱れるなど、比較的大きな被害がもたらされました。日本は台風のみならず地震大国でもあり、いつ何時、大きな災害が発生してもおかしくない状況下にあります。このような環境下においては、各企業におかれましても防災対策を日頃から実施することが求められていますが、事業者様の中には具体的にどのような対策を講じれば良いか思案されているケースもあるのではないでしょうか。今回のコラムでは、全日本トラック協会が発行している防災手帳(参考URL:http://www.jta.or.jp/member/pf_kotsuanzen/bosai_techo2008.pdf)を参考に、具体的な取り組み事例をご紹介したいと思います。
◎防災対策担当者のアサインおよび、災害時の役割分担の策定
災害はいつ、どこで発生するか、あらかじめ予測することができません。そのため、日頃から事業所内を点検し、必要に応じて補強する必要があります。防災対策担当者を明確に決めておられない事業者様におかれましては、災害が発生していない平常時こそ防災対策担当者を指名し、日頃から出来うる対策を少しずつ講じていくことが大切といえます。
また、災害が発生した際に誰がどのような役割を果たすのかについても事前にとり決めておくことで、災害発生時の初動が早くなり、業務オペレーションを早期に回復させることはもとより、被害の拡大を最小限に止めることも可能となるでしょう。
従業員が多数いらっしゃる事業所様におかれましては、これら決定事項を防災対策マニュアルとして行動指針の形にまとめて従業員に配布したり、理解を促すために最低1年に1回は直接説明する機会を設けるなど、災害時に実際に行動に移せるよう平常時にできうる限りの対策を講じられることをお勧めしたいと思います。
◎事業所内の点検・補強や備品の準備
比較的大きな被害が発生してしまった場合は、従業員が自宅に帰ることができなくなることも考えられます。そのような事態に備え、従業員が3日程度生活できるだけの非常食や飲料水をあらかじめ用意されるとよいでしょう。最近は、これら食に関するものだけではなく、平常時は小さく折り畳むことで保管場所をそれほど必要としない簡易ベッドなども防災対策グッズとして導入されている企業もあるようです。災害発生時は特に心身ともに疲労がたまるため、従業員の負担を軽減するためにどのような備品を用意しておくのが望ましいか一度考えられてもよいかもしれません。
また、事業所内の倉庫や業務スペースのガラスや壁など、災害発生時に従業員が怪我をしないよう耐震性などの強化に努めるようにしましょう。室内だけではなく、建物の外壁やブロック塀なども崩れる危険性がないか、まずは目視で結構ですのでしっかりと確認をし、必要に応じて補強されるとよいでしょう。事業所内を確認することは言わずともがな重要なことですが、事前に確認するべきは事業所内だけではありません。そもそも事業所が地質学的にどのような立地に建っているのか、活断層が近くに無いか、地盤の弱い地域に属していないかなど、より大きな観点で知っておくことも重要と言えるでしょう。
防災対策として日頃から取り組めることは、これら例にあげたこと以外にも多く存在していますが、まずはできることから着実に実施していくことが大切です。防災対策も先日のコラムで取り上げさせて頂いた安全対策も、企業の存続という観点では経営の屋台骨であると言えるでしょう。どちらも一朝一夕で実現できるものではありませんが、是非、長期的な観点で実践されることをお勧めしたいと思います。