中国経済の今後の行方

2ヶ月ほど前に、「コロナウイルスがもたらす中国経済への影響」と題したコラムを掲載させて頂きました。今回のコラムでは、多くの方が気にされているであろう、中国経済はこれからどうなるのか、についてデータを見ながら考察してみたいと思います。

まず、この2ヶ月ほどを簡単に振り返ってみると、中国で流行が確認されたコロナウイルスは気がつけば世界を席巻し、現在のところアメリカやイタリア、イギリスといった欧米諸国で猛威を振るっています。一方の日本では、非常事態宣言のもと外出の自粛要請が国民に通達され、感染者数は徐々に減少に向かっているものの未だ予断を許さない状況が続いています。一方、今回のパンデミックの引き金となったとされている中国では新規感染者数が10人以下となる日も出てくるなど、ほぼほぼ収束に向かっていると言えるでしょう。

そんな中国国内の景気動向を把握することのできる指標の一つ、中国製造業購買担当者景気指数(以下、PMI)について皆さんはご存知でしょうか。中国で製造業を営む企業700社程度に毎月送付されるアンケート結果をもとに、数値が算出され、その数値が50を上回っていれば景況感が改善、50を下回っていれば悪化というように判断することができるのです。中国の景気動向を比較的早く把握することができる指標として、中国向けにビジネスをされている企業の方はPMIを毎月確認されても良いかもしれません。

さて、そんなPMIですが、この4ヶ月の推移を見てみると、1月は50.0、2月は35.7、3月は52.0、4月は50.8となっており、コロナウイルスが中国で猛威を奮った2月は統計開始以来最低の数値となりましたが、そのあとは順調に回復傾向にあり、景況感の分かれ目である50を上回って推移しています。

このことから、中国経済は直近で順調に回復していることが見てとれますが、コロナウイルスが現在のところ欧米諸国で猛威を振るっていることから世界経済が今後景気後退局面に入ることも大いに考えられ、そうなると世界の工場と言われる中国の製造業もその影響を受ける可能性があり、中長期的な観点では、今後世界の感染者数がどのように推移するのかに大きく左右されるかもしれません。

ただ、コロナウイルスの治療薬として効果が期待されるものもアメリカを中心とする先進国では報告され始めており、今後、日本国内及び世界各国において新型コロナウイルス感染症の流行が収束に向かえば世界経済は息を吹き返すことでしょう。日本のメディアでは国内のコロナウイルス感染者数が専ら取り上げられていますが、マクロ経済学的な視点として、世界全体の数値を引き続きモニタリングしながら、景気動向を予測しつつビジネスを展開して参りたいと思います。