今回のコラムでは、厚生労働省が発表している、雇用調整助成金について取り上げたいと思います。昨今のコロナ禍で休業等を検討されている会社様などは当助成金を申請することができる可能性があるため、制度の概要だけでも知っておいて頂ければ、と思います。
厚生労働省によれば、雇用調整助成金とは、「新型コロナウイルス感染症の影響により、事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、従業員の雇用維持を図るために、労使間の協定に基づき、雇用調整(休業)を実施する事業主に対して、休業手当などの一部を助成するもの」とされています。
分かりやすく簡潔に説明させて頂くと、今回の新型コロナウイルス感染症が引き金となり、直近1ヶ月間の売り上げが昨年同月比で5%以上減少している企業が休業を実施し、休業手当を支払っている場合に、中小企業であればそのほぼ全額が助成される、というものです。
ここでのポイントは、6月12日付けの特例措置により、助成金の上限額が引き上げられ、従来は一日あたり8,330円が上限だったのですが、現在は一日あたり15,000円が上限となっており、また、解雇等をせず従業員を雇用し続けている場合は全額(10/10)助成されるということです。
現時点で、9月30日までの期間の休業についてこの特定措置が当てはまりますので、やむなく休業せざるをえなくなり、従業員の雇用の継続が難しいと感じられておられる場合などは、当制度を積極的に活用されてみてもよいかもしれません。
また、この雇用調整助成金は基本的に雇用保険被保険者の方が対象となっていますが、学生アルバイトの方など、雇用保険被保険者以外の方の休業手当については緊急雇用安定助成金という制度が存在し、そちらで助成を受けることが可能となっています。特に、助成の内容や申請先などは雇用調整助成金と同様であるため、学生アルバイトの方の休業補償について考えておられる方にとっても、これらの制度は非常に有効と思います。
支給に至る流れですが、
①労使協定により休業に係る協定を締結したのち、
②休業を実施し、
③実績に基づき支給申請をすれば
④労働局の審査を経て
⑤支給決定額が振り込まれます。
緊急対応期間中の特例として、従来は「計画届」などの提出が必要だったのですが、現在のところそれらは不要となっており、申請までのフローが簡略化されています。8月現在、累計で約80万件の支給申請に対し、約70万件の支給実績が公表されているので、支給に至るハードルはそれほど高くなく、支給が決定されるまでのスピードも比較的迅速と思われます。
ご興味いただけます事業者様は、都道府県ごとにハローワークまたは労働局にお問い合わせいただき、実際に申請いただければ、と思います。
※お問い合わせ先一覧は厚生労働省のホームページをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10702.html
この未曾有の事業環境を乗り越えた先には、明るい未来への希望の光が輝いているはずです。事業を継続させるために、利用できる制度は少しでも活用頂くことで、未来が開けるかもしれません。当社としましても、この危機をお客様、協力会社の皆様と共に乗り越え、新しい物流の世界を築き上げる一翼を担いたいと思います。