ブロックチェーンと物流

最近よく聞くワードにメタバースという言葉がありますが、皆さんはお聞きになられたことがあるしょうか。オンライン上の仮想空間という意味があるのですが、昨年Facebook社が20年近く続いた社名を変更し、メタ社(Meta)と名前を変えたことが話題になりましたがこのメタという言葉もメタバースから来ています。

おおよそ世界は10年に一度くらいの頻度で大きく構造が変わり、世の中を変える新しい技術や製品が世の中に出てくるという説があります。例えば、2000年前後はインターネットが出始め、オンラインで人々がつながることができるようになりましたし、2010年前後はAppleのiPhoneを筆頭にスマートフォンが製品化され、いつでもどこでもインターネットにアクセスできる環境が整うようになりました。そして2020年になり、これからの10年で大きく世の中を変えるであろうと一部の人々が熱狂しているのがこのメタバースという概念です。

このメタバース、物流と直接的に関係ないと思われるかもしれませんが、このメタバースという概念を支えている基本的な技術こそブロックチェーンであり、ブロックチェーンは物流業界にも大きな変革をもたらすとされています。少し補足しますと、オンライン上の仮想空間が我々の生活に入り込むと、そこで様々な商材(アイテムや機能など)が取引されるようになりますが、例えば、その取引の決済手段として仮想通貨が利用されることが増えるでしょう。また、そもそもの商材の真贋を証明するために特定の情報(いわゆるNFT、非代替性トークン)が利用されるようになります。仮想通貨、NFTを成立させる技術こそブロックチェーンであるため、メタバースを実現させる上でブロックチェーンは必要不可欠な要素と言えるのです。

さて、前置きが長くなりましたが、今回のコラムのテーマである、ブロックチェーンと物流について話を進めたいと思います。ブロックチェーンと物流にどのような関係があるのか、ですが、実は大いに関係があり、最近徐々に注目されはじめています

一般に、我々の生活を支えている商品は生産者から直接消費者に渡ることはなく、いくつかの仲卸業者を経て最終消費者の元へ移動していきます。そしてそれぞれの過程で、どのような商品がどのタイミングでどのように移動していったか、という情報は現在のところそれほど公にされていません。もちろん、Amazonなどのマーケットプレイスはかなりの情報を集約していると言えますが、一部の悪意あるユーザーによるデータの改竄などのリスクは存在しますし、マーケットプレイス外の流通については一元管理されていないため、ブラックボックスであると言えるでしょう。

このような現実に対し、活躍できるのがブロックチェーンです。ブロックチェーンの一つの魅力は、そのネットワークに書き込まれたデータは改竄できない、というものです。また、第三者がその履歴を追うことができるので、どの商材がどのような流通経路を経て最終消費者まで移動していくのか、客観的に把握することができます。

海外の事例をご紹介すると、例えば、ワインの流通などでブロックチェーンを活用することがプロジェクトとして進められています。ワインはその商材の特性から、産地の特定が非常に重要であることと、保管状態などもその品質に影響を与えます。ブロックチェーン技術を使えば、産地偽装の問題を回避することができ、また、いつ作られたワインなのか、そしてそれはどのような経路で手元に届いたのか、など全ての情報にアクセスできれば非常に便利であると言えるでしょう。

ワインに限ったことではなく、産地偽装を防ぐことへのニーズが高い商品や、流通経路を全て把握したい商品などに特に相性が良いと思います。日本でも、鮮魚(うなぎなどの高級食材)の流通の透明性を確保しようと水産庁が率先して全ての取引関係者が集まるプラットフォームを作ろうとしていますが、そのようなケースにもブロックチェーン技術は有望と言えるでしょう。

常に最新技術をキャッチアップしながら、少しずつ社会を変革していきたいと思います。