GXとは

皆さんはGXという言葉について聞かれたことはありますでしょうか。似たような単語で、DXという表現はニュースでも取り上げられることが多く、お聞きになられたことがあるのではないでしょうか。DXはデジタルトランスフォーメーションの略で、簡単に言うとデジタルの力で日々の業務を効率化し、新しいビジネスモデルを生み出せるよう企業を根本的に変革する(形を変える=トランスフォーメーション)取り組みのことを意味します。

GXのXはDXと同じくトランスフォーメーションを意味しますが、ここでのGはグリーン(Green)のGなのです。つまり、GX=グリーントランスフォーメーションであり、環境負荷を抑えながら経済成長を目指すよう社会を変革する(社会の形を変える=トランスフォーメーション)という意味を持っています。

昨今、平均気温が上昇し夏日などの猛暑日の日数は増え続けていますし、特に夏期を中心に豪雨など災害の頻度が増えつつありますが、これらは近年の二酸化炭素排出量増加に伴う地球温暖化が一因であるとされています。

そしてこれらの対策として世界ではCO₂削減を義務づける動きも広がり、企業は「成長か環境か」という選択を迫られてきました。しかしながら、今注目されている**GX(Green Transformation:グリーントランスフォーメーション)**は、この二者択一を乗り越える考え方と言えるでしょう。経済成長を止めずに、環境負荷を減らしていく、その両方を実現する変革こそがGXなのです。

まず、GXが必要な理由を今一度整理してみましょう。一つは、国際ルールの変化が挙げられます。パリ協定やEUの炭素税(CBAM)など、排出量に価格をつける制度が広がりつつあります。これら制度に対応しない企業は輸出や調達で不利になる可能性があると言えるのです。

また、投資家などの金融寄りの視点では、ESG(ESG=Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)という社会的な取り組み)を重視している企業への投資が急増しています。環境対応が進んでいる企業は資金を集めやすく、株式市場でも評価が上がりやすい傾向にあります。

お客様や社員からの信頼という観点では、環境に配慮した企業は、選ばれ続けるブランド力を持ち、採用や取引にも有利に働くことでしょう。

このように、GXに力点を置くというのが企業経営上非常に重要になっているという背景があるのです。

そして、GXは単に電力消費を抑えようとする省エネ活動にとどまりません。私たちの物流業界は特にエネルギー消費が多く、GXの最前線にあります

たとえば、倉庫に太陽光発電や断熱技術を取り入れ、エネルギー収支をゼロに近づける取り組みなどはその最たる例と言えるでしょう。また、電動トラックや水素燃料トラックを導入し、二酸化炭素の排出を大幅に減らす施策や梱包材を繰り返し使える「リターナブル資材」に切り替えるなどといった事例も見られます。

そして往々にしてこれらはコスト削減だけでなく、取引先からの信頼獲得や新規顧客といった経営上の売上増にもつながりえます。まさに環境負荷を抑えながら経済的なプラスを実現しているという点で、GXを体現していると言えるでしょう。

GXは単なる義務ではありません。再エネや水素、脱炭素関連の新しい市場は、企業にとって新規事業や雇用のチャンスになります。政府も2050年カーボンニュートラルを目標に、税制優遇や補助金など支援策を拡大中です。

まとめると、GXは「環境にやさしく、成長し続ける社会をつくる大きな変革」と言えます。家庭でできる省エネや企業の大規模投資まで、すべてがGXの一部となりえます。身近な一歩から始めて、持続可能な未来を一緒につくる。それがこれからの成長のカギになるはずです。