今回のコラムでは、インコタームズについてまとめてみたいと思います。
海外から何か商材を輸入し日本で販売したいとき、その費用や責任をどう負担すれば良いのか、そもそも商品の所有権はいつ移行するのかなど、疑問に思われたことはないでしょうか。
例えば、このような疑問が発生します。
・海上輸送する際の費用は海外の企業(売り手側)が負担するべきなのでしょうか?
もしくは日本側の企業(買い手側)が負担するべきなのでしょうか?
・商品の所有権が海外の企業(売り手側)から日本側の企業(買い手側)に移行する場所はどこなのでしょうか?
海外の輸出港でしょうか?それとも日本側の輸入港(仕向港)でしょうか?
海外との取引を行う際に、事前に取り決めをしっかりと実施し、上記の疑問点を解消しておかないと後々取引先と揉めてしまうということも考えられます。
そのような事態を防ぐために、国際取引上、インコタームズというルールが制定されていますが、貿易を行う際は、このインコタームズをある程度理解しておくと事務手続きなどがスムーズに進むと思いますので、ご紹介したいと思います。
改めて、インコタームズ(Incoterms)とは、国際取引における取引条件を標準化し、取引当事者間での誤解や紛争を防ぐために国際商業会議所(ICC)によって制定された国際的なルールのことを指します。
これらのルールは、売り手と買い手の責任、費用、およびリスクの配分を明確に規定しており、全部で13種類ほどの条件が存在していますが、取引ごとにどの条件を適用するのかしっかりと把握しておくことが大切です。
まずは、よく使われる二つの条件(FOBとCIF)についてご説明したいと思います。
FOBとは、Free On Boardの略で、日本語では本船渡しと呼ばれます。
本船渡しという名の通り、商品を船上で渡すということなので、船上に置かれたタイミングで商品の所有権などが買い手に移行するということになります。
つまり、FOBでは、商品の所有権とリスクが船上に置かれた瞬間に買い手に移り、買い手側が以降の輸送や保険などの手配を担当することとなります。
ポイントとしては、下記の4点が重要となります。
納入場所: 船積み港の船上が納入場所となります。
契約書で指定された船積み港が取引の約束地点となります。
所有権とリスクの移転: 商品の所有権とリスクは、商品が船上に置かれた瞬間に買い手側に移ります。(船上に積み込むまでは売り手側が実施します。)
運賃と輸送時の保険: 運賃および保険に関する責任は、買い手側が負います。買い手側が輸送中の損傷や喪失に備え保険をかけることが必要となります。
通関手続き:輸出入許可、通関手続き、関連する税金などに関する法的手続きは買い手側が実施します。
FOBは海上輸送が主要な要素である取引によく使用されますが、この条件では、商品が船上に置かれる瞬間に所有権が移るため、売り手側の責任は船上までとなり、買い手側がその後の輸送や関連する手続きに責任を負うこととなります。
CIFとはCost, Insurance and Freightの略で、日本語では運賃保険料込みと呼ばれます。
所有権の移転はFOBと同じく、商品が船上に置かれたタイミングで売り手側から買い手側に移行しますが、FOBとの違いは、売り手側が商品の輸送や保険料、および関連する費用を引き受けるという点にあります。
ポイントとしては、下記の4点が重要になります。
納入場所: 船積み港の船上が納入場所となります。
契約書で指定された船積み港が取引の約束地点となります。
所有権とリスクの移転: 商品の所有権とリスクは、商品が船上に積まれた瞬間に買い手側に移ります。
運賃と輸送時の保険: 売り手は商品を船積み港まで運ぶための運賃を支払い、船上での損傷や喪失に備えて買い手のために保険をかけます。この保険は船積みから到着港までの期間をカバーします。
通関手続き:輸出入許可、通関手続き、関連する税金などに関する法的手続きは買い手側が実施します。
まとめると、FOBもCIFも売り手側の船に積み込まれた時点で商品の所有権は売り手側から買い手側に移りますが、運賃と保険料を売り手側が負担するのがCIF、買い手側が負担するのがFOBということになります。