2024年問題を前に私たちにできること

以前のコラムで、物流の2024年問題について取り上げました。

2024年問題とは

簡単にまとめますと、2024年4月1日からトラックドライバーに時間外労働の上限規制が適用されるようになり、ドライバーの労働時間が短くなるため、物流業界全体の輸送能力が低下する可能性があります。

このような状況ではあるものの、皆さんの多くは実感が湧かないなどで、自分自身には関係がなく、また、いかなる対応もできない社会的な問題であると思われていたりしませんでしょうか。

確かに、物流業界は経済の縁の下の力持ちと言われるように、社会インフラの一種であるため、普段意識を向けることの少ない業界ではあります。しかしながら、2024年問題が深刻化すると、物流費の値上げや輸送期間の長期化など、私たちの生活に少なからず悪影響をもたらす可能性があります。

そのため、私たち一人ひとりがきちんと意識をもって、物流業界全体が疲弊しないよう、エコシステムを維持できるよう働きかけることが大切だと思います。

では、具体的に何ができるでしょうか。少し踏み込んでみたいと思います。

一つは再配達を減らすように配慮するということです。
国土交通省が令和5年10月に実施した調査(*)によると、宅配便で届けられる品物のうち、約11.1パーセントが再配達となってしまっているという結果が出ています。
およそ回数に換算すると、9回に1回はドライバーの方が荷物を持ち帰っているという現状をなんとか変えられないものでしょうか。
例えば、ECサイトで物を購入した場合、できるだけ置き配設定を選択することで、再配達が生じないようにする、というのは有効な手段だと思います。
また、AmazonなどのECサイトでは、Amazonロッカーという宅配ボックスを利用することも可能であり、自宅外で受け取る環境が整備されています。
このような各種サービスを利用することで、再配達を減らすことができると言えるでしょう。

もう一つは、できるだけ「まとめ買い」や「まとめ注文」をするということです。
個別に注文し、個別に配送を依頼するのではなく、一括で購入や注文をすることで、配送を集約することができれば運送回数の削減に繋がります。
例えば、ECサイトですぐに購入、配送を依頼するのではなく、一旦お気に入り登録などでリスト化を実施し、1週間に1度の頻度などで配送を依頼することができれば、配送量を減少させることができます。

再配達や配送量の削減は物流業界を助けるだけでなく、地球環境を保全するという観点でも有効です。
私たち一人ひとりが意識をもって改善していくことで、社会と地球環境を少しでも良くしていく必要があると思います。

*https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/re_delivery_reduce.html