コンテナから読み解く世界経済

前回の記事ではコンテナについて解説しましたが、このコンテナが最も取り扱われている港(港湾)は世界のどこか皆さんはご存知でしょうか。

国土交通省がランキング情報を公開しているのですが、2016年のTOP3は上から順に、上海(中国)、シンガポール、深セン(中国)となっています。そして、TOP10にランクインしている港のうち実に7つの港が中国で占められています。コンテナ量=貿易量という公式がある程度は成り立つはずですので、いかに中国が世界貿易の中心地になっているかということを理解していただけるのではないでしょうか。

ちなみにTOP10のうち中国ではない3つの港湾はシンガポール、釜山(韓国)、ドバイ(アラブ首長国連邦)となっていますが、実にTOP10のうち9つがアジアに集中しているのですね。現在の世界経済を牽引(けんいん)しているのは間違いなくアジアであるということがこのデータからも裏付けされていると思います。

少し遡って1980年頃のデータを見てみると、TOP3は上から順にニューヨーク(アメリカ)、ロッテルダム(オランダ)、香港でした。残念ながら、この頃の香港はまだ中国に返還されておらずイギリス領でしたので中国としてカウントすることはできませんが、その香港を除いたとしても中国の港はT0P30に1つすら入っていませんでした。TOP10のうちアジア圏に属しているのは神戸(日本)、高雄(台湾)、シンガポールの3つだけで、他はアメリカやヨーロッパの港で占められていたのですね。

コンテナ数というリアルなデータを読み解くと、世界経済の主役が、アメリカ・ヨーロッパ(1980年代)→アジア(2010年代)に移り変わったと推測することができるのではないでしょうか。世界のコンテナがどこに置かれているかを数えるだけで、マクロな経済状況を推測することができる、とも言えます。

さらに時代が進み、今から約30年後、世界のどこにコンテナがたくさん置かれているのでしょうか。ひょっとすると上位TOP10の国々は全てアフリカの国で占められているかもしれません。未来は神のみぞ知るところではありますが、日本が世界経済から取り残されないよう、物流業界を担う我々こそ新たな付加価値を生み出せるよう努力していかねばなりません。お客様の立場にたち、誠実かつ具体的なご提案ができる物流会社として当社自らも変化し続けたいと思います。