物流業界の未来〜その③〜

物流業界の未来について、前回の記事では、輸送技術の進化や倉庫業務の効率化が急速に進みつつあることについてまとめました。本記事では、当社も取り扱っている海上コンテナ輸送に関して、次世代海上交通システムの開発、及び省エネ船舶の普及・促進の二点についてどのような取り組みが行われつつあるのかご紹介したいと思います。

・次世代海上交通システムの開発
コンテナ船が海上を運航している際にその他の小型船などと衝突をしないよう、ありとあらゆる船舶の位置をデジタル通信などによりリアルタイムで取得するシステムが開発されつつあります。特にこの新しい技術は、狭い範囲に船舶が密集する傾向にある域内で効力を発揮すると考えられており、海上の事故削減につながることが期待されて
います。ただ、国際的な取り組みが進展しつつある中で、我が国においてはこれらの新しい技術の導入に際して既存の通信システムをいわば”捨て去る”必要があり、システムの切り替えなどに多大なコストがかかることが大きな懸念となっています。日本が世界の潮流から取り残されないよう、政府が主体となって新しい技術の導入を積極的に推進していくことが今こそ求められていると言えるでしょう。

・省エネ船舶の普及・促進
より的確な気象予報情報を元に、より効率的な運航経路を導き出すシステムの開発が推進されつつあります。コンテナ船の巨大化が進んでいる昨今、運航経路が少しでも長くなるだけでより多くの燃料が消費されることとなり、このことはすなわちより多くのCO2が排出されることを意味します。CO2の排出量を削減していくという国際的な総意の元、省エネ志向の船舶・機器の導入が世界的にも求められており、京都議定書が採択された当地である我が国こそ、先陣を切って世界を先導していく立場にあると言えるでしょう。特に海上コンテナ輸送という分野においては、CO2濃度の増加が引き起こす海水面の上昇によって、既存の輸送経路の変更や既存設備の代替が必要になるかもしれません。そのようなリスクを低減させるためにもこれら省エネ技術の普及は喫緊の課題であると言えるのではないでしょうか。

技術大国日本が世界のためにできることはたくさんありますが、物流業界においてもそれは例外ではなく、10年後の世界がどのように変貌を遂げているか、今から楽しみでです。