食品(青果物)輸出のトレンド

前々回の記事で、輸送技術の進化についてまとめましたが、本記事では特に食品輸出の物流について簡単にまとめてみたいと思います。突然ですが、野菜・果物の中で最も海外に輸出されているものは何か、皆さんはご存知でしょうか。

答えは・・・りんごです!輸出総額350億円のうち134億円がりんごで占められており、比率にして約40%、堂々の第1位に輝いています。ちなみに第2位は何でしょうか。ほぼ当てるのは不可能かと思われますが、第2位は・・・長芋です。料理を普段されない方はあまり馴染みがない食材かもしれません。サツマイモやジャガイモはスーパーでもよく見かけますが、長芋はあまり見かけませんね。ただ、うどんやお蕎麦によくついてくる”とろろ”と言えば、多くの方はイメージできるのではないでしょうか。あの”とろろ”は長芋が擦って作られたものですね。

これら、りんごと長芋で輸出総額の約半分近くが占められていますが、この2つの共通点は何かお分かりになりますでしょうか。気づかれた方もいらっしゃるかもしれませんが、長時間鮮度・品質が維持しやすい、という特徴が重要なポイントになっています。これらの食材はほぼ全て海上コンテナで運ばれるのですが、海上コンテナ輸送は航空輸送とは違い、輸送にかかる期間が長くなる傾向にあります。そのため、収穫されてから期間が長くなっても比較的痛みにくい食材の方が、痛みやすい食材よりも海上コンテナ輸送と相性が良いのです。実際に、鮮度や品質が維持しにくい”いちご”や“ぶどう”、”メロン”、”モモ”といった果物は海上コンテナ輸送よりも航空輸送で運ばれることが多く、海外で人気の”マグロ”に至っては航空輸送で100%運ばれます。鮮度をいかに維持できるかという点が輸送手段を決定する際に重要な要素となっていると言えるでしょう。

ちなみに、これらの食材を日本からもっとも輸入している国はどこかというと、多くの方は中国を想像されるかもしれません。しかしながら、実際は台湾がダントツの第1位となっています。数字で見ると、りんごと長芋の約3分の2は台湾に輸出されており、中国向け輸出額は台湾の10分の1以下でしかありません。日本の農産物は価格が比較的高いため、国際的に価格競争力が低いというのがデータから見てとることができる一例かと思われます。日本の農産物が世界で生き残るためには、”日本産”であることそのものが価値を持つようなブランド戦略が今こそ必要とされているのではないでしょうか。マンガやオタク文化だけでなく、日本産のりんごや長芋といった食材もCool Japanの一つとして世界で評価されるようになれば、農業という日本の伝統的な産業に新しい風が吹く日も近いかもしれません。