前回のコラムで燃料サーチャージについて触れました。燃料サーチャージとは、燃料費が高騰している時に追加でチャージされるいわば追加料金のことでした。
燃料費というテーマに関連して最近ニュースで取り上げられていた「ガソリン暫定税率」について本日はまとめてみたいと思います。
そもそもなぜ話題になっていたのか、ということですが、野党が中心となってガソリン暫定税率を廃止することで現在のガソリンにかかる税率を下げようという動きがあったのですが、衆議院では可決されたものの、与党が多数派を占める参議院で否決されました。
多くの方はご存知だと思いますが、昨年の10月27日に行われた衆議院選挙で自民党と公明党が議席を減らし、現在は与党が過半数割れとなっています。一方で、参議院では与党が過半数を占めており、今回このような結果となりました。
さて、ここでガソリン税についてご説明したいと思います。
ガソリン1リットルあたり、170円として、そのうち税金にかかる金額はいくらかご存知でしょうか。
おおよその目安ですが、ガソリンの本体価格が100円、税金が70円という割合になっています。
半額とは言わないまでも、約4割程度が税金となっており、その比重が大きいことがお分かりになると思います。
そして、税金70円の内訳を見ると、ガソリンそのものにかかる税金(いわゆるガソリン税)が53.8円、消費税が15.5円となっています。
ガソリン税の内訳はさらに、国税分(揮発油税、本則)が約24.3円、地方税(地方揮発油税)が約4.4円、そして、暫定税率分が約25.1円となっています。
消費税15.5円はガソリン価格+ガソリン税にかかるため、税金が二重で課されている、という点も問題視されることがありますが、それにしても非常に多くの税金がガソリンに課されている、ということを理解いただけるものと思います。
そして今回、このガソリン税のなかの暫定税率を廃止するという話が出たのですが、この暫定税率という仕組みが曲者です。
そもそも暫定という名前がついてはいるものの、1974年のオイルショック対策として導入された税であり、50年間以上も維持されてきた仕組みなのです。
導入背景としては、当時の原油価格高騰を受け、需要を一時的に減らすためという目的と、ここから得られる財源を道路整備に使うためという大きく2つの目的があったと言われています。
当初は5年間程度という想定で導入されたものの、この税収が無視できないレベルであったため、毎年延長され続けています。
実際にどれほどの規模かというと、この暫定税率分だけで年間1兆円から1.5兆円程度の歳入になると試算されています。
参議院が与党少数であれば今回の廃止法案は国会を通過していたと思われます。そして、その場合はガソリン価格がリットルあたり25円は安くなっていたということを考えますと、政治の世界という一見遠い世界で決定される事柄が実は私たちの日常生活と密接に繋がっているということも実感しやすいものがあります。
物流業界に携わっている者として、ガソリン税がもたらす事業へのインパクトは無視できないものがあり、今後も世の中の情勢、政治の情勢を注視して参りたいと思います。