2024年問題とは

物流業界における「2024年問題」について、皆さんはお聞きされたことがあるでしょうか。

これは、近年の働き方改革の波が物流業界にも押し寄せ、2024年4月1日からトラックドライバーについても時間外労働の上限規制が適用されるようになる、というものです。

具体的には、月45時間、年360時間が時間外労働の原則的な上限とされ、何かしら特別な事情がある場合でも年960時間を超えてはならないという規制が適用されるようになります。

従来、物流業界ではトラックドライバーの長時間労働が問題となっており、この現状を打破するためにこの規制が適用されるようになるのですが、ここで大きな問題が発生すると考えられています。

それは、大別すると、下記の2点となります。

1つは、トラックドライバーの労働時間が制限されることにより、物流量が全体的に制限され、経済が停滞する可能性がある、というものです。総数としてトラックドライバーが増えない限り、総数として物流量が減少します。そして、物流量が減少することはすなわち、経済の循環が遅くなることを意味します。

具体的に計算してみましょう。例えば、1人あたりトラックドライバーの労働時間が、月あたり240時間(12時間×20日)から月あたり200時間に制限(10時間×20日)に減少すると、その差分は約20%減少となります。この減少分がそのままGDP(国内総生産)の減少をもたらす、ということではありませんが、日本経済そのものが停滞してしまう可能性はあるといえるでしょう。

もう1つは、トラックドライバーの労働時間が制限されることにより、トラックドライバーの給与が減少し、なり手不足に拍車がかかってしまう可能性がある、というものです。

こちらも先ほどの計算がそのまま事例として当てはまりますが、労働時間が月あたり240時間から月あたり200時間に減少したとしましょう。通常、時間外労働は時間内労働より支払われる給与水準が高くなる傾向にあるので、給与として減少する差分が約20%以上(例えば、約30%)となってしまうドライバーの方たちも多くみられるのではないでしょうか。

そして、給与の減少はすなわち、トラックドライバーのなり手不足を招くことは想像に難くないでしょう。新規のなり手が減少することはもちろんのこと、既存のドラックドライバーの異業種への転職なども考慮すると、ドライバー不足がどのような経過を辿るかは注視が必要だと思われます。

以上、2024年問題について考察しましたが、もちろん、マイナスの側面だけではありません。プラスの側面としては、トラックドライバーの働き方改革により過酷な労働環境が改善される、というものがあります。また、需要と供給のバランスから、トラックドライバーの数が減少すれば、一人あたり給与は増大する可能性もあります。今回の規制改革を物流2.0と捉え、いかなる状況もプラスに好転させるべく、弊社では様々なことに積極的にチャレンジしていきたいと思います。