今回のコラムでは、多くの運送会社経営者の方が気にされることが多い、コスト削減について具体的な事例を取り上げながらご説明したいと思います。特に、不確実な中東情勢、アメリカを筆頭とする自国至上主義は国際的な経済の不安定化を誘引しており、今後も原油価格は上昇または高止まりすると考えられます。燃料価格の高騰はダイレクトに企業の業績を圧迫するため、これらの影響を避けるためには総合的なコスト削減が求められます。実に様々な打ち手がありますが、その中でも基本的なコスト削減方法、特に車両本体に関わる部分についてご紹介したいと思います。
最も効果的かつ簡単な方法の1つは、タイヤを適切に利用することです。
運送距離が長ければ長いほどタイヤはすり減っていきますが、前後4本のタイヤが等しく摩耗するわけではありません。走行するルートや運転のクセ、そもそも車両に存在する特有の微妙な傾きなど全ての要素が絡み合い、特定の部分のタイヤが他のタイヤに比べて摩耗するスピードが早くなるのです。特定のタイヤが摩耗したまま走行し続けるとさらにそのタイヤの摩耗が進み、走行に対する抵抗が増加することに繋がります。走行に対する抵抗が増加するということはすなわち、車両の燃費が悪くなり、燃料に関わるコストが増えるということを意味します。
このタイヤの摩耗具合のバラツキを抑えるために行われるのがタイヤローテーションという、タイヤの入れ替え(多くの場合は前後の入れ替え)です。多くの会社様で実施されている取り組みとは思いますが、タイヤローテーションを自社で行うことにより整備費用はもとより、通常の燃費費用も節約することができますので、万が一実施されていない会社様は定期的なメンテナンス項目に含められるとよいのではないでしょうか。
定期的なメンテナンスといえば他にも、タイヤの空気圧の定期点検などがあります。
タイヤの空気圧の点検が大切だとご存知の方も多いと思いますが、具体的に燃費との関係性についてはご存知でない方も多いのではないでしょうか。数値でいえば、一般的にタイヤの空気圧が20%低下するごとに燃費が8%ずつ悪化すると言われています。つまり、タイヤの空気圧が20%低下するごとにコストが8%ずつ増加していくということなのですが、これを聞いて驚かれる経営者の方も多いのではないでしょうか。一方で、タイヤの空気圧を高く保てば良いかというとそういうわけでもなく、空気圧が高いとタイヤが摩耗するスピードが速くなってしまいますので、適正な空気圧を維持することが大切です。
今回のコラムでは、タイヤの利用方法を中心に車両本体に関わるコスト削減についてご説明いたしました。車両を適切に利用することはコスト削減だけでなく、事故の低減に繋がります。先日のコラムでコンサルティングの事例の1つとして安全面の体制整備について取り上げさせていただきましたが、本日のコラムで取り上げたテーマは安全面の体制整備にも直接関連するとも言えます。日々のメンテナンス、定期的なメンテナンス項目を定められている事業所様は多いかと思いますが、その確認状況までしっかりと把握すること、万が一確認漏れがあった場合には何らかのアラートが発生する仕組み作りが大切です。
上記の事例は一例ですが、当社では最も即効性があり効果の出やすいコスト削減策を模索し、課題解決のご支援をして参ります。物流全般にわたり、どんなことでも問題ございません。お悩みごとなどがございましたらお気軽にお問い合わせ頂ければ、と思います。現役社長自らが今までの経歴を生かし、御社の課題に対して、昨今の物流業界を取り巻く様々な問題・環境変化に応じた対策をご提案させて頂きます。